■賃貸物件を借りる際の連帯保証人とは
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▼連帯保証人は借主と同等の責任を負う
家賃や賃貸中に発生した修繕費、退去時の原状回復費用、損害賠償費用などの大家さんに対する債務について、極度額(※)の範囲内で借主と同等に支払い責任を負うのが連帯保証人です。借主の滞納が発生すると、大家さんや管理会社から連帯保証人に対して、弁済が請求されます。その際、それを拒むことはできません。
※極度額とは、連帯保証人が借主に代わって債務を弁償するときの支払上限額のこと。
▼連帯保証と一般保証の違い
一般保証の場合、保証人は「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」を有しています。簡単に言うと、保証人が債権者からいきなり弁済を求められた際に「まずは主たる債務者に請求して」「債務者の財産を差し押さえてからにして」と言える権利です。つまり、一時的な支払不能や拒否の場合は、保証人が弁済しなくても済む場合があります。
一方で、催告の抗弁権と検索の抗弁件を有さないのが連帯保証人。本当は借主に支払い能力があったとしても、大家さんから請求をされた場合は否応なしに弁済義務を負います。つまり、連帯保証の方が一般保証よりも責任が重いのです。
■連帯保証人は誰に頼むべき?
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▼別居の親族に頼むのが一般的
連帯保証人は、親や兄弟などの比較的近い関係の親族に頼む人が多いでしょう。この際に求められるのが、別居であることと支払い能力があることです。親族であるかを問わず、「同居人は連帯保証人になれない」ということを覚えておきましょう。
▼支払い能力のある友人にも頼める
連帯保証人について、特に制限や条件が設けられていない場合は、友人や知人に頼めます。ただし親族の場合と同様、一定の収入や貯蓄があるなど、支払い能力がある場合に限ります。実際には、迷惑をかけてしまう可能性がゼロではないこと、年収額や貯蓄額などのプライベートな内容まで明らかしてもらう必要があることから、友人や知人には頼みづらいという人が多いでしょう。
▼勝手に誰かを連帯保証人にはしない
いかなる保証契約も、勝手に誰かを保証人にした場合、その契約は無効です。連帯保証の場合は、「連帯保証人引受承諾書」に署名・捺印をしてもらうことで、保証契約が成立します。連帯保証人になりすまして書面に署名・捺印をした場合、書面に記載されている人は連帯保証人として認められません。(※)仮に、なりすましができるような状況であっても、勝手に誰かを連帯保証人にすることは絶対にやめましょう。トラブルに発展した場合は、裁判沙汰にもなりかねません。
※ただし、名前を勝手に書かれた当事者が連帯保証人になった事実を後から認めた場合を除く。
■民法改正によって新たに義務付けられたこととは
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▼連帯保証人が負担する限度額(極度額)の設定
民法改正を受けて、2020年4月1日以降に締結された賃貸借契約書では、連帯保証人の極度額を設定・明記することが義務付けられました。極度額の記載がないものや、不当に高い金額が設定されている契約書は無効となります。極度額の具体的な金額について明確な基準や定めはありません。つまり、20万円でも100万円でも有効です。ただし、毎月の家賃額に対してあまりにも安い場合は大家さんから許可が出なかったり、高すぎる場合は連帯保証人が見つからなかったりする可能性があるでしょう。
民法改正に伴い、国土交通省は極度額設定の参考資料を発表しました。この資料によると、家賃4万円~8万円未満の物件で発生した家賃滞納では、その損害額の平均値は28.2万円、家賃8万円~12万円未満の物件では50.0万円でした。大家さんから特段の指定がない場合は、こうした資料を参考に極度額を決めると大家さんにも連帯保証人にも説明がしやすいでしょう。
▼借主から連帯保証人への情報開示
債務者である借主は連帯保証人に対して、自身の収入額や貯蓄額、負債額などの財産状況についての情報を開示することが新たに義務付けられました。そうした義務がなかったため、連帯保証人になることのリスクが不明瞭とも言える状況だった改正前。「これ程のリスクがあると分かっていたら、連帯保証人にはならなかった」と後からトラブルになるケースもありました。借主が連帯保証を依頼する際にこれらの情報開示を怠っていた場合には、保証契約が取り消される可能性もあります。連帯保証人に対してしっかりと情報提供をすることで、トラブルを防げるだけでなく、依頼もスムーズに行えるでしょう。
▼大家さんから連帯保証人への情報開示
民法改正によって、債権者である大家さんも連帯保証人に対して、情報開示義務を負うことになりました。具体的には、「借主の家賃の支払状況やその他の債務履行状況について問い合わせがあったときは、大家さんは連帯保証人にその情報を伝えなければならない」ということです。もしも大家さんがこの義務を果たしていない中で借主の債務不履行が起こった場合には、連帯保証人に弁済を請求できない可能性があります。
■連帯保証人の代わりになる保証会社とは
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▼保証会社の役割
賃貸物件を借りる際に利用される保証会社は「家賃保証会社」とも呼ばれ、おもに家賃の支払いについて連帯保証人に代わる役割を果たします。借主の口座から家賃の引落しが可能である場合に限って、大家さんへ家賃の送金を代行するケースや一定期間は家賃を立替えてくれるケースなど、会社によってサービスの内容は多少異なるでしょう。通常の家賃保証に加え、原状回復費用やその他の債務についてもオプションで保証を付けられる会社もあります。
なお、保証会社が借主に代わって支払いを行ったものは、あくまでも一時的な立て替えであることがほとんどです。したがって、「借主は後から、立替金を全額請求される」ということを覚えておきましょう。
▼保証会社の利用料と更新料
保証会社の利用料は、家賃の0.5ヶ月分~1ヶ月分であることが一般的です。通常は、大家さんが指定する会社を利用することが多く、その利用料は契約時の初期費用に含まれます。つまり、保証会社の利用有無で初期費用は数万円、もしくはそれ以上変動するのです。契約期間は賃貸物件の契約期間と同じであり、賃貸借契約の更新に伴って保証会社の利用契約も更新されます。更新料は1万円程度前後であることが多いでしょう。
▼保証会社の利用が必須のケース
近年、増加傾向にあるのが保証会社の利用を必須としている賃貸物件。保証会社の利用は当初、外国人や連帯保証人を頼む先がない人が中心でした。しかし近年は、連帯保証人の有無にかかわらず、保証会社の利用を求める物件が増えてきています。
大家さんにとっても、家賃回収に時間がかかるリスクや連帯保証人の連絡先が分からなくなるリスクを抱えるよりは、滞納リスクを軽減でき、家賃を回収しやすい保証会社を使う方がメリットです。そうした点からも、保証会社の利用を選ぶ大家さんは今後増えることが見込まれ、保証会社の利用を入居の必須条件とする物件も増えてくるでしょう。
■連帯保証人の要否は早めに確認!
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▼連帯保証人を見つけるのに時間がかかる
連帯保証人を見つけるのには、時間がかかる想定をしておく方が無難です。家賃やその他債務の滞納が発生すると、連帯保証人に迷惑をかけてしまうことになります。その後の人間関係にも影響を及ぼしかねないため、連帯保証人選びは慎重に行う必要があり、一定の時間がかかるでしょう。
▼遠方の場合は書類をそろえるのに時間がかかる
連帯保証人が遠方に住んでいる場合は、郵送でやり取りすることが多いため、必要な書類がそろうのに時間がかかります。連帯保証人には、連帯保証人引受承諾書に署名・捺印をしてもらい、あらかじめ用意してもらった印鑑証明書の原本と併せて郵送してもらうのが一般的です。これらに加えて、収入証明書が求められるケースもあります。
万が一、書類に不備がある場合には、再度郵送でやり取りをしなければなりません。契約日の直前になって焦ることがないよう、連帯保証人の要否は早めに確認し、必要である場合は早めに書類の準備を依頼しましょう。
▼保証会社は利用料がかかる
保証会社を利用する際は、契約時に家賃の0.5~1ヶ月分の利用料を支払わなければなりません。連帯保証人をつける前提で物件探しをしていた人にとっては、思わぬ出費です。契約のタイミングで支払いに困ることがないよう、保証会社の利用が必須であるか否かは早めに確認しておくことをオススメします。
■まとめ
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賃貸物件を借りる際の連帯保証人が負う義務は、家賃滞納やその他の債務不履行が発生した場合に、借主に代わってそれらの債務を弁償すること。特に制限がなければ、支払い能力がある親族や友人、知人に頼むことができます。2020年の民法改正では、極度額の設定や連帯保証人への情報開示がルール化され、それ以前に比べて連帯保証人の立場が保護される形になりました。
連帯保証人の代わりになる保証会社は、多くの物件で利用できるほか、近年では保証会社の利用を入居の必須条件としている物件もあります。連帯保証人であればかからない保証会社利用料は、少しでも初期費用を抑えたい人にとっては負担になりかねません。一方で、連帯保証人を頼む人がいない人や親族や友人には頼みたくない人は、コストを払ってでも保証会社を利用したいと思うでしょう。
連帯保証人を誰かに頼むか否かは、連帯保証人の役割や条件、民法改正に伴うルール、注意点をよく理解したうえで判断することをオススメします。あらかじめその判断ができていれば、賃貸物件探しや契約のときも困ることはないでしょう。