老後に家を売却しても大丈夫?



 

老後に家を売却するのは不安…
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「子どもが独立したのでコンパクトな家に住み替えたい」「定年後の生活費の足しにしたい」「終活したい」といった理由から、老後に持ち家を売却して住み替えるという考え方が近年定着してきています。しかし、長年住み慣れた自宅を売却するのは不安が大きく、決断が難しいという方もいるのではないでしょうか?収入や体力が落ちやすい老後の暮らしを安定させるためには、売却前に十分検討を行うことが必要です。そこでこの記事では、老後に家を売却するメリットとリスク、住み替え以外の選択肢などについて解説します。

 

 

老後に家を売却するメリット
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▼住環境を改善できる

持ち家を売却することで、老後の暮らしに合った家へ住み替えることができます。たとえば子どもが独立して夫婦2人になった場合、部屋数が少ないコンパクトな家に住み替えれば、管理が楽になり光熱費も節約することが可能です。また、定年後に通勤の必要がなくなった場合は、自然が豊かで静かな環境を選ぶこともできます。体に負担を感じる場合は、スーパー、病院、役所などが徒歩圏内にある立地の家や、バリアフリーの安全な家へ住み替えると暮らしが楽になるでしょう。

 

▼老後資金を確保できる

持ち家を売却すればまとまったお金を得られるので、老後資金を作るのに役立ちます。さらに、固定資産税や都市計画税などの税負担を減らすことも可能です。特に土地付き一戸建てを所有している場合、建物が住めないほど老朽化していても、土地の条件がよいと高い固定資産税を支払わなければなりません。そのため、こうしたケースに当てはまる方は、持ち家を手放して賃貸へ移ったほうが出費を抑えられる可能性があります。

 

▼住宅ローンの返済負担がなくなる

家を売却すれば、売却代金で住宅ローンを完済できる可能性があります。収入が落ちやすい老後まで住宅ローンの返済が続いて負担になったり、予想より年金が少なく返済の目処が立たなかったりすることを避けられるため、安心です。

 

▼相続の面倒がなくなる

家や土地などの不動産は、現金と違って分割するのが難しいので相続トラブルが発生するケースがあります。しかし、売却して現金化すれば平等に分けやすくなるため、相続人が複数いる方は、早めに検討しておくとよいでしょう。

 

 

老後に家を売却するリスク
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▼手間やストレスがかかる

家の売却には多くの手続きが必要であるほか、住み替えのための新居探し、荷物の処分、引越しなどさまざまな手間もかかります。また、生活する環境が変わるとストレスを感じることもあり、これらは高齢者の心身にとって大きな負担となる場合もあるので注意が必要です。

 

▼賃貸の審査が通りにくい

持ち家を売却してマンションに住み替えようと思っていても、収入が低い、認知症や孤独死のリスクがあるなどの理由から、高齢者は賃貸住宅の審査に通りにくい傾向があります。そのため、入居先がある程度限られることを、あらかじめ理解しておく必要があります。

 

▼家賃がかかる

持ち家を処分して住宅ローンや固定資産税などを整理できても、賃貸住宅に入居すれば毎月家賃や管理費がかかるため、退職後の老後生活にとっては負担になることがあります。そのため、将来にわたって家賃を支払い続けることができるか、資金計画を慎重に立てることが重要です。

 

▼予想より売却価格が低い

家は経年にともなって価値が下がるのが一般的です。そのため、長年住んだ家の売却価格は予想より低いという場合があります。特に住宅ローンの残債がある場合は、まず査定を受けて売却価格で完済できるかどうかを確認する必要があります。老後に家を売却するかどうかは、ここまでご紹介したリスクと注意点の両方を踏まえて総合的に判断するようにしましょう。

 

 

住み替え以外の選択肢は?
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「相続トラブルを避けたい」「老後の資金を確保したい」といった事情から持ち家を売りたい意思はあるものの、住み慣れた家を離れるのは気が進まないという方もいるのではないでしょうか?ここではそうした方のために、そのほかの選択肢として「リースバック」「リバースモーゲージ」をご紹介します。

 

▼リースバック

リースバックとは、家を不動産会社に売却し、その後は不動産会社と賃貸借契約を結ぶことをいいます。家を売却してまとまった資金を得られるうえ、売却後も同じ家に賃貸住宅として住み続けられるというのがメリットです。そのため、「今の暮らしを変えたくない」という方に向いている方法といえます。ただし、リースバックは賃貸であるため家賃がかかる点に注意しましょう。

 

▼リバースモーゲージ

リバースモーゲージとは、自宅を担保にして融資を受けるローン制度のことです。自宅を保有したまま、借入金を一括または定期的に受け取ることができます。返済方法には、毎月利息のみを返済するタイプと、契約者本人が亡くなった後に元本と利息を合わせて一括返済するタイプがあります。ただし、利用には年齢制限があるほか、物件の価値によって融資限度額が決まるので、希望より融資額が少なくなってしまう場合もあります。また、リースバックは資金の用途に制限がありませんが、リバースモーゲージの場合は事業や投資には使えないとされている点にも注意が必要です。

 

 

売却前の注意点と準備
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▼元気なうちに行動する

認知症や病気の後遺症などにより判断能力が衰えると、所有している家を自分で売却することができなくなります。その場合、本人に代わって子どもや親族、あるいは弁護士などが「成年後見人」として代理で売却を行うことが一般的です。しかし、成年後見人になって売却を行うには家庭裁判所での手続きを経る必要があるので、時間も費用もかかってしまいます。このようなことを防ぐためにも、売却を考え始めたらなるべく早く行動しましょう。

 

▼費用を把握する

家の売却には、大きなもので仲介手数料、ほかに印紙税、引越し費用などさまざまな費用がかかります。また、家を売却して得た利益は「譲渡所得(売却益)」として課税の対象になります。売却を検討する際は、こうした売却にかかる費用もあらかじめシミュレーションしたうえで判断することが大切です。

 

▼査定を受ける

売却を本格的に検討するには、査定を受ける必要があります。査定とは、自宅がいくらほどで売れるかを不動産会社が調べて推定価格を提示することです。査定価格を提示してもらうと、住宅ローンの残債を返済できるか、どのくらいの期間と金額で売れそうかという見通しを立てることができます。最も精度が高いのは訪問査定ですが、まだ売却を迷っているという方には、基本情報を入力するだけで結果が分かる簡易査定(机上査定)、AI査定がおすすめです。

 

▼転居先は慎重に検討する

家を売却した後の転居先は、老後の暮らしを考慮して慎重に検討しましょう。スーパーや病院といった生活に必要な施設は近くにあるか、もしものときにすぐ来てもらえる距離に子どもや知人は住んでいるかなどを事前に確認しておくことが大切です。また、賃貸住宅には審査があるほか、老人ホームも定員で希望の施設にすぐ入居できない場合もあるので、転居先は早めに探し始めておくとよいでしょう。

 

 

不動産売却の不安はプロへ相談
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老後に家を売却する場合は、自分たちだけで決めずに周囲へ相談することも大切です。たとえば子どもがいる場合、子どもにとっては生まれ育った家がなくなることになるほか、転居先によっては親の様子を見るのが難しくなる場合もあるため、まずは子どもに相談するとよいでしょう。同意を得ずに売却すると、親子間でトラブルになってしまうこともあるため注意が必要です。また、住み替えや相続のことを判断するには専門知識も必要となるため、分からないことや不安なことはプロに相談しましょう。

 

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