マンションの寿命や子どもの誕生で手狭に。買い替え・住み替えで、また一からローンも
家賃に消えていくよりも早い時期に買ってローンに充てた方がお得、という発想は今も昔も変わらない。最近では、“20代で買って40代はラクラク”という不動産会社の謳い文句も見聞きし、若くしてマンションを購入した経験者の話もスマートでかっこいい。
買った物件がそのまま終の棲家となり得るなら、ローン完済以降はラクラクな生活となる可能性は確かにあり得る。ただ、20代で選ぶマンションでは、謳い文句を鵜呑みにしない方が賢明。なぜなら、20代で買った場合は、マンションの寿命や子どもができて家族が増えることを考えると、もう一度買い替える可能性が高いから。せっかくローンを完済しても、住み替えるときにはまた一からローンを抱える可能性がある。では、建て替えをすれば、との声もあるが、マンションで追加費用なしですむのは条件に恵まれたケースに限られるから、一般的には、建て替えする場合でも想定外に大きな持ち出し費用がかかる。
少し前までは、物件価格の2割にあたる頭金を準備する必要があったから、多くの家庭では40代前後に、まとまった貯蓄が築けてからの住宅購入が一般的で、20代での購入事例はあまり多くなかった。40代前後での新築購入なら、なんとか平均余命まで住まいが保つ。だから、マンションの老朽化による住み替えや建て替えの必要性はそれほどクローズアップされてこなかったこともある。しかし、頭金なしでも購入できるようになった今、20代での購入者が急増、盲点が浮き彫りになった現状に留意したい。