「家を買う」ときに後悔しないための心構え②



 

◎「家は人生最大の“ 買い物 ”」という落とし穴

 

 

■不動産に掘り出し物はありません
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「家は人生最大の買い物」とよくいわれますが、「買い物」という比喩表現には、ついハマってしまう落とし穴があります。家を「買い物」と考えてもいい人は、一握りの億万長者だけです。例えば、私たちが犬小屋や物置を買うのと同じような感覚で不動産を購入しても何の問題もありません。しかし、多くの人たちは違います。物置と家を買うのとは、まったく次元の違う行為であるはずです。だとすれば、次のことがいえるはずです。

 

「買い物の判断のものさしを、そのまま家の購入に持ち込んではいけない」マイホームの購入は、今までの「買い物」とは似て非なるものだということを深く心に刻んでおかなければ、重要なところで判断を誤ります。しかし、家を供給する側にとっては、まぎれもなく家は「売り物」です。他の買い物と同じく、お金を払いさえすれば買えるのが家であり、家を供給する側にとってお金を払える人が客なのです。そして「家は人生最大の買い物」というキャッチフレーズは、私たちをある単一の判断基準に誘導します。それは、「損か得か」です。

 

 

■「営業マンにとって売りたい物件」を買わされる⁈
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こうした一見客観的な基準で商品を決めてもらうことが、売り手にとっては好都合です。「お得な情報」「掘り出し物」などがキーワードです。では買い物でなければ何なのか?それは、「人生のプロジェクト」です。マイホームは生活の基盤となり、家族の人生の容れ物ですが、住宅ローンの支払いを継続できて、はじめて維持することができるのです。この点では持家も、賃貸も何ら変わりません。

 

損得に支配されてしまうと、営業マンにコントロールされやすくなります。目の前の家が、「もう二度と出ないかもしれない、早い者勝ちの超お買い得な物件」であるといわれたら、どうでしょうか?もう、その家を買わない理由はなくなってしまうのです。「掘り出し物だ」といわれた物件が迷っている間に横から売れてしまう、ということはよくあることですが、これも落とし穴です。損得勘定に染められた脳は、「先を越された!」と感じるのです。畳みかけるように、営業マンは言います。「超レアな優良物件でしたから、すぐ売れちゃいましたね…」この言葉は私たちの頭にこう響きます。「私の言う通りにすぐ契約しないから、ライバルに先を越されたんですよ」

 

こうなると、次に「掘り出し物が出ました!」といわれたら、急いで契約してしまうことになります。売れてしまった物件は流通市場から消えます。その物件が本当に何の欠陥もなく、優良な物件であったのかどうか、もう誰にもわからないので、それこそ言いたい放題なのです。

 

不動産に「掘り出し物」などありません。すべて価格に反映されているのです。相手は損得勘定で私たちを誘導しようとします。わざとそうしてるというより、彼らは商売としてやっているので、損得勘定の物差しで話をするのは至極自然なことなのです。

 

私たちが持つべきなのは、住宅の購入は「人生のプロジェクト」という視点です。そのために、持つべき視点をこれから紹介していきます。営業マンのいう「良物件」は、彼らにとっていいのか自分にとっていいのか、フィルターをかけて聞く必要があるのです。