価値の下がらない物件の選び方と営業マンの交渉術③



 

◎価値の下がるエリアを事前にチェックする方法

 

 

■土地の資産価値がわかる「立地適正化計画」とは?
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「これから買うマイホームの資産価値(地価)が今後どうなるの?」ということに疑問を抱く人は多いと思います。じつは、少なくとも確実に下がるであろう地域が存在します。その理由は、国土交通省が平成26年8月に施行した「改正都市再生特別措置法」に基づく「立地適正化計画」があるからです。

 

多くの地方土地は、高度成長期に拡大路線をとって膨張してきました。今後、地方都市では高齢化が進んで福祉や医療費の増加は避けられませんが、働き手になる若年増の人口は減少していきます。しかし、それでは効率が悪いと、これをコンパクト化して効率化しようというのが、この立地適正化計画の狙いです。図3-2の中にある丸囲みの部分外の居住区域を「立地適正化計画区域」に指定して、「居住誘導区域」にギュッと凝縮しようという計画です。

 

 

【立地適正化計画=コンパクトシティ・プラス・ネットワーク(国土交通省のパンフレットより)】

・居住誘導区域に緩やかに住民の居住エリアを誘導していく

・都市機能誘導区域に医療、福祉、商業施設を誘導していく

・拠点間を結ぶ交通サービスを充実させる

 

 

■居住誘導区域外のエリアは価値が下がる
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つまり、図3-2の中にある丸囲みの部分外の地域は、今後取り残される運命にあるということです。これから購入しようとしている家が居住誘導区域に入っているか、そうでないかは、宅地建物取引業法で説明が義務付けられる重要事項ではないので、不動産会社からの説明はありません。つまり、自分で調べない限りは知らないままです。知らずに居住誘導区域外の地域にマイホームを購入してしまったら、どうなるでしょうか?ローンが終わるまでの20~30年はそこに住み続けることになり、マイホームを買ったときには近くにあったはずの市立病院はなくなり、バスの停留所もなくなり…という状態になっていくのです。

 

 

■購入予定の地域の自治体のHPを必ずチェックしよう
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2024年3月31日現在、747都市が立地適正化計画について具体的な取り組みを行っています。このうち568都市がすでに計画を作成、公表しています。これはあくまで現在の情報なので、最新の情報は国土交通省のホームページから直接確認するようにしてください。これから購入しようとしている地域が取り組みを行っている場合は、必ず市町村のホームページを確認して居住誘導区域をチェックしておきましょう。

 

 

■居住誘導区域はある程度予想できる!
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少子高齢化の今、ほとんどの都市で人口は減少傾向になっています。国立社会保険・人口問題研究所の調査によると、一部の人気都市でも人口増加が続くのは2025年までで、その後は減少傾向になるだろうと予想されています。つまり、どんなに人気のある都市でも、将来的にはこうした選択と集中が必要になってくるのです。すでに計画に取り組み中の自治体では、駅や幹線道路から徒歩圏内、大型商業施設周辺など、都市化したエリアを居住誘導区域に指定する傾向があります。つまり、現時点でもその地区内で平均以上に利便性のよいエリアは、居住誘導区域になると推定できます。これからマイホームを探すにあたって絶対に考慮しておくべきポイントのひとつでしょう。