価値の下がらない物件の選び方と営業マンの交渉術⑤



 

◎「中古住宅」を購入するときの注意点

 

 

■マイホームの築年数と資産価値の関係
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多額の住宅ローンを負って購入するマイホームの資産価値は、家計にも、人生にも大きく影響します。まずは、住宅の一般的な資産価値と、築年数の関係を理解しておきましょう。建物の資産価値は、新築時が最も高く、築年数を経過する(建物が古くなる)にしたがって下がります。建物部分はいわば消費財で、次の2つが特徴です。

 

【建物の資産価値の推移】

・新築から5年以降で急激に下がる

・その後ゆるやかに下がっていき、最後は取り壊し費用の分だけマイナスとなる

 

これはあくまで一般的なケースなので、個別の条件(建物の劣化具合・使い方・メンテナンス・その地域での住宅の流通量・供給量など)によっても変わります。一般的な築年数と資産価値の下がり方を考慮すると、新築から一度大きく下がる築5年を超えた物件、住宅の性能面では、新築と遜色のない築10年前後の物件が、資産価値の下落リスクという点では買い手に有利な選択といえます。

 

 

■中古マンションは「長期修繕計画」と「管理組合」をチェック
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マンションの資産価値を形成するものとして大きいのは、やはり立地です。駅の周辺など利便性の高いエリアの新築マンションは、価格が高くて手が出ないことがほとんどです。しかし、中古マンションであれば、建物の資産価値が経年劣化によって下がっている分、割安に購入することができます。もうひとつ、中古マンションを探すときのポイントになるのは、マンションの住民によって作られる「コミュニティ」です。つまり、マンションの価値には、次の2つの側面があるのです。

 

【マンションの価値】

①消費財としての価値=物理的な建造物として価値(立地も含む)

②コミュニティの価値=管理組合のレベル

 

①「消費財としての価値」を確認できる「長期修繕計画書」

建物を少しでも長く、よい状態で使用するには、日々のメンテナンスが重要です。そのレベルを確認できるのが、「長期修繕計画書」です。これは、分譲マンションの性能を維持し老朽化を防止するために、管理組合が作成する分譲マンションの長期的な修繕計画です。まずは、25年以上の長期的な修繕計画が策定されているかどうかを確認します。そして、今後の大規模修繕時点の「修繕予定費」より「修繕積立金の累計額」が多くなっているかを確認します。修繕積立金の累計額が修繕予定費より少ない場合、今後修繕積立金が高くなったり、修繕時に一時金の徴収などが必要になったりするためです。

 

②コミュニティの価値は「管理組合のレベル」で確認する

いかに長期修繕計画がしっかりしたものでも、それを実行するのはマンションの住民であり、その集合体が「管理組合」です。新築マンションを購入する場合、ゼロから自分たちでそのコミュニティを作っていくのですが、中古マンションを購入する場合はすでに存在するコミュニティに入ります。例えば、エントランスやポストまわり、共用廊下、非常階段、自転車置き場、ゴミ置き場などがきれいに保たれているかどうかで、そのマンションの住民のモラルの程度がわかります。また、理事会の開催頻度や理事の選出方法も確認しましょう。管理組合の理事長が長年に渡って交代することなく歴任し、理事会も何年も開催されないような場合は、修繕積立金の横領が発生しやすい環境ともいえます。

 

 

■完成年度によって物件の特徴が違う
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さまざまな住宅の法改正がありますが、物件の完成年度により、ある程度見るべきポイントを整理できます。特に次の3つの年度を意識しましょう。

 

【完成年度によって違う物件の特徴】

①2001年以降完成

②1986~2000年完成

③1985年以前完成

 

①2001年以降完成

2000年から「住宅性能表示制度」がスタートしています。これにより、新築時の性能がわかる物件が多くあります。また、アウトフレーム工法が標準化しており、室内に邪魔な梁が張り出さないタイプの間取りが多くなっています。図3-4の2つの間取りを見てください。

 

 

左のアウトフレーム工法(柱を間取りの外側に出した工法)のほうが広く見えますが、チラシに掲載される専有面積は同じになるのです。専有面積の表示には、次のどちらも建築基準法で認められています。

 

【専有面積の2つの表示法】

・内法面積→壁の内側の部分の面積(正味の専有部の面積)

・壁芯面積→部屋の壁の中心線で囲まれた部分の面積(壁と内部の柱を含む面積)

 

専有面積とは「専有部」の面積です。柱は共有物なので専有部には含まれませんが、チラシやパンフレットでは広く見せるために壁芯面積が表示されるのが普通です。つまり、同じ専有面積の間取りでも柱が少ないほうが広いということです。

 

②1986~2000年完成

1990年代の物件にもアウトフレーム工法はありますが、1980年代はリビングに梁や柱が張り出す物件が多いので、チラシに載っている専有面積に補正を入れる必要が出てきます。柱1本を1㎡で補正してください。

 

③1985年以前完成

建物に関しては相当老朽化しているので、メンテナンスのレベルは高いものを要求されます。これまでの大規模修繕工事で補修が計画通りに行われているかの確認が必要です。1981年6月に建築基準法の耐震基準が改正され、それ以降に完成した物件であれば、耐震強度については及第点だと考えていいでしょう。しかし、それ以前の物件は、現在の耐震基準を満たしているか、耐震診断などの有無を確認します。

 

 

■中古戸建ては「検査済証」の有無や「メーカー保証」をチェック
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中古マンションと同じく、新築に比べて価格が安いというのが中古戸建てのメリットです。流通量も一定数あるので、さまざまな物件から選べますし、古民家をリノベーションして、見違えるような家に生まれ変わらせることも可能です。一方で、戸建ては木造であることが多く、強度面はマンションより弱いことは否めません。また、マンションであればすでに住民が住んでいて、そのことが住宅としての性能をある程度保証してくれていますが、一戸建てについてはそれがありません。つまり、建物の消費財としての価値については、マンション以上に気を配らなくてはならないのです。

 

中古戸建てで気を配るべきポイントは、「検査済証があるか」です。検査済証は、「検査済証があるか」です。検査済証はその家が違法建築でないことを証明するもので、これがないと原則として銀行から住宅ローンの融資を受けられません。過去にはこの検査済証の取得がゆるかったので古い住宅では取っていないケースもあり、注意が必要です。

 

 

■「住宅品質確保促進法」による保証があるか
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2000年4月に施行された「住宅品質確保促進法」があります。これは、住宅の品質確保の促進などに関する法律で、住宅の強度や耐久性を高め、欠陥住宅を解消しようとするものです。趣旨は次の3つです。

 

【「住宅品質確保促進法」の趣旨】

①施工会社や不動産会社に対する10年保証を義務づける

②住宅が一定の性能を持つことをわかりやすく証明する「性能表示制度」を作る

③トラブル発生時などにすばやく対応する「紛争処理機関」を設ける

 

この10年の保証期間内であれば安心できます。もし、保証期間をすぎても問題が起こっていなければ、建物の性能に対してはある程度安心できます。大手ハウスメーカーの施行であれば、10年を超える保証をつけるケースもありますし、2000年以前の住宅でも独自の保証がついている場合があります。

 

 

■「新耐震基準(1981年6月)」以降の物件なら耐震強度については及第点
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中古マンションの項でも触れましたが、新耐震基準以前の建物の場合、耐震性能という点で懸念があると考えたほうがいいでしょう。購入後に安心して住むために、耐震補強工事の費用が余分に発生します。ただし、古い建物であってもしっかりした建て方で、今の耐震基準に適合していれば、既存の状態で「耐震基準適合証明書」を取得することができるケースもあります。また、耐震補強工事を行う場合には自治体から補助金が出たり、フラット35で借りる場合は大幅な利率の引き下げを受けられたりするケースがあります。

 

 

■第三者の専門家による住宅診断を利用する
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家の欠陥というのは見えないところに原因があるため、素人が見てわかるものではありません。条件や証明書があっても、不安なケースはあると思います。また、施行した業者がすでに廃業しているなど、それ以外の部分で不安が残ることもあるでしょう、そういう場合に利用したいのが、第三者の専門家による「ホームインスペクション(住宅診断)」です。住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などについて、専門家からアドバイスを得ることができます。