銀行間の赤字覚悟の価格競争は、いつか終わりが来る



 

■銀行間の赤字覚悟の価格競争はいつか終わりが来る
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「今まで上がったり下がったりを繰り返していたのだから、下がったあとには必ず上がるはず」というのは定説かもしれませんが、論理的な根拠に欠ける理由です。しかし、これだけはいえることがあります。そういっている彼らが「上げたい」「上がってほしい」と心底思っているということです。例えば、ネット銀行などが出している0.45%前後の変動金利で銀行がいくら儲かるのかと考えたことはありますか?銀行は金融市場から資金調達しており、メガバンクの調達金利は0.28%前後です。これと変動金利との差が銀行の儲けとすると、0.17%ほど。3000万円貸したとしても、年間でたった5万円の儲けなのです。それでもやっていけるのは、過去の高い金利で借りている人から、毎月の利息が黙っていても入ってくるためです。銀行がこの赤字覚悟の価格競争を維持できるのは、こうしたカラクリがあるのです。そして、この価格競争は、銀行間の借り換え競争も次のように激化させました。

 

▼前からA銀行で借りている人

「金利が高いからB銀行に借り換えしよう」

▼前からB銀行で借りている人

「金利が高いからA銀行に借り換えしよう」

 

銀行間で、お互い過去の高い金利で借りてくれている人を交換しているのです。そして、今の激安金利で貸しているというのは、まるで巨大な蛇が自分の尻尾を飲み込んでいるような状況なのです。「そんなバカなことやめればいいのに…」と思うかもしれませんが、やめたいけれどやめられないのが価格競争というものです。しかし、いよいよ日銀が利上げして、この価格競争に終わりがやってくるのかもしれない、という声もあります。