団信は利用者をふるいにかける特殊な商慣行



 

■団信は利用者をふるいにかける特殊な商慣行
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

団信によって遺族がローン返済に苦しまず、家も失わずにすみます。これが表面的な団信についての考え方、いわば「A面」ですが、同時に裏の「B面」があります。それは、「債権者が債務者の生命にかける生命保険」という面です。団信の保険料は金融機関が負担しますが、こんな表現になっていると思います。

 

“ 団体信用生命保険料はゼロ円です!住宅ローンお借入れの際には、団体信用生命保険へのご加入が必要となります。死亡時や高度障害状態になられたとき、生命保険会社から保険金が支払われ、住宅ローンの全額返済が行われます。 ”

 

しかし、本当はゼロ円ではありません。この世にタダのものなんてないのです。保険料は金融機関が払っていますが、それを払ったうえで利益の出るような金利に設定しています。仮に保険料がすこぶる上がって金融機関が赤字になりそうになったら、全体的に貸し出し金利を上げて調整します。保険料を利用者が平均的に負担しているのが実態です。

 

団信の費用は、本質的には利用者が負担しています。しかし、団信の保険金の受取人は金融機関です。経済的な負担と契約関係にねじれがあるのです。いわば、団信は金融機関が保険金を受け取れるようにするために、住宅ローン利用者が費用負担して入る保険なのです。要するに、「金貸しに生命保険をかけられて保険料も払わされている」というのが団信の「B面」です。利用者側にも住宅ローンの残高がゼロになるというメリットがあるので、あくまで商慣行として定着しているだけなのです。