「疾病保障特約付き団信」は、保険会社の販売する商品であって、住宅ローンとは分けて考えるべきです。この本質を理解するための2つのポイントを紹介します。
①保険料の負担が一律で損をするのは若い人、得をするのは年配者
生命保険は若いときに加入したら保険料は安いのですが、年を取ってから入ると高くなります。一方、疾病保障特約付き団信の場合は一律同率です。団信は若い人には割高で、年配者には割安なのです。
②ローン残高が減ると保険料が減るが保険金も減る
ローン残高に一定率が上乗せになる疾病保障特約は、ローン残高が多い前半は保険料が高く、保障額も大きくなります。ローン残高が少ない後半は保険料が安く、代わりに保障額も小さくなります。つまり、次のようなケースがあり得るのです。
「子どもが成長し、教育費がかさむときに病気に倒れた。そのときには住宅ローン残高はわずか100万円になっていたので、疾病保障特約でわずかな住宅ローンの債務がなくなっただけだった…」
はじめのうちは住宅ローンの残高は何千万もあるので保障が手厚い印象がありますが、住宅ローンは長年の返済によって減少していく一方、病気にかかるリスクが高くなるのは、人生の後半です。住宅ローンを選ぶときの基準はあくまで毎月の返済額に無理がないか、老後資金を残せるかということが第一です。ですから、生命保険とはいったん切り離して考えるべきなのです。疾病保障特約をつけるかどうかは、大前提となる国の社会保障制度をしっかり把握し、今の自分の年齢と貯蓄を両方見ながら判断すべきです。