【第2章 空き家が発生しそうな場合の予防】①たくさんの話をしてみましょう



 

両親は健在だけれども、亡くなった後は誰も住む予定がない家屋(実家)がある場合、つまり、将来的に空き家が発生しそうな場合の予防・対策を考えていきましょう。ポイントは「今しかできないことをやっておく」です。

 

 

■ちょっとした会話が拠り所になるかも
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「将来の空き家の話」をするということは、基本的には、両親が亡くなってしまうことを前提としています。なかなか話題にしにくい気持ちもよくわかります。しかし、実家について将来どうするのかという話をすることが、まさに「今しかできないこと」であり、「両親が亡くなってしまったらできないこと」です。両親に限った話ではありませんが、空き家となりそうな家屋があり、それを相続することになりそうであるのならば、その持ち主が健在なうちに、土地や建物をどうしてほしいのかについてヒアリングをしておきたいところです。

 

家のことに限らず、例えば、延命治療が必要になった場合、本人がそれを望むのかなど、将来のことを話し合っておく機会は重要です。特に大きな判断が苦手な人は…ですよね。

 

最近は「終活」という言葉も一般化してきており、高齢者が遺品となりそうなものをあらかじめ処分したり、できるだけ身軽な状態で最期を迎えることができるようにしておくという活動が珍しいことではなくなりました。それこそテレビをつければ「終活」や「生前処分」をテーマとした番組を目にすることはありますし、そういった番組の視聴をきっかけに、「うちはどうしてほしい?」とか、「〇〇の場合はどうする?」などと、話を向けてみるのもよいかもしれません。終活の話に誘導したいわけではありませんが、何かしらのきっかけも使って、重要な財産等の処分について、できるだけ話をしておく、当人の希望を聞いておくことは大切です。

 

また、皆さんのご両親に感じ取ってもらいたいことは、「自分の子どもや孫の負担にならないように」ということです。もちろん、多くの人は「自分の子どもに迷惑をかけたくない」と思っていることでしょう。とはいえ、あまり直接的に話を切り出すのも事務的な感じがしますし、自分が面倒になることを避けたいから言い出しているのではないか…(本当はそうであったとしても)…などと、懸念を生じさせてしまうかもしれませんよね。

 

ですので、まずはざっくばらんに話をしておく、できれば、本人の希望を聞き出すというスタンスが良いと思います。それこそ、重い病気になってしまい、意思疎通が難しくなった場合はどうしてほしいか…という別の話から入り(この話もとても重要です)、「その場合、この家はどうしてほしい…」といった流れでも良いでしょう。その過程で、「遺された人が困らないために」という話を持ち出すようにすれば、双方にとって有意義な時間になると思います。

 

もし本当にその時が来てしまった場合、「あんなことを言っていたな…」という、ちょっとした記憶も判断の拠り所になるかもしれません。

 

 

■エンディングノートの活用
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家族間での話し合いはとても大切ですが、自分以外にも兄弟姉妹がいる場合などは、「私はそんな話は聞いていない」という人が出てくる可能性があります。ひょっとすると、あなたにとっての兄弟姉妹は、子ども時代の関係性とはだいぶ違っているかもしれませんよね。そこで、「会話」から一歩進めて、両親に「エンディングノート」の作成をお願いできれば理想的です。エンディングノートは「終活ノート」とも呼ばれ、人生の終わり(相続)に備え、自分の想いや死亡後の諸々の手続きに必要な情報を記入する、言わば「想いを形にする」アイテムです。これは、市販されているグッズを使うとよいでしょう。市販品は、ガイドに従って記入していけば過不足なく仕上がるようにできていますし、とても便利です。

 

インターネットで検索すると、たくさんの商品がヒットしますし、100円ショップで売っていることもあります。また、法務局の公式サイトからダウンロードをすることもできますので、これならば無料で入手することが可能です。

>>法務省/日本司法書士会連合会 エンディングノート(参考)

エンディングノートの利点の1つは備忘録となることです。市販のエンディングノートには、銀行口座、株式、保険やその他の財産に関する情報を記入するページがあるので、「遺された家族の負担を軽くしてあげたい」という動機で記入を始めることができます。少しずつでもよいので、もし書き始めてもらうことができれば、直接は尋ねにくい本人の意思を確認できるかもしれません。友人へのメッセージを記入するページなどもあり、書けるところからでよいと思います。