【第3章 既に空き家がある場合(売るという選択)】①選択肢は「売る」「貸す」「管理する」の3つ



 

既に空き家となっている家屋がある場合はどうしたらよいのか。ここからはこの点について考えます。大まかな方向性は「売る」「貸す」「そのまま管理する」の3つです。この章では「売る」という選択肢について考えます。

 

 

■空き家の維持管理には手間とコストがかかる
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空き家の維持管理を続けるには、当然のことながら手間とコストがかかります。具体的には、各種税金や保険料の支払い、場合によっては光熱費、さらに交通費も含めた定期的なメンテナンスの費用もかかることでしょう。当然、これらの労力もかかります。そこで、まずは空き家を所有している場合にどうしたらよいのか、その選択肢を考えてみましょう。大まかな方向性は「売る」「貸す」「そのまま管理する」の3つです。そして、この3つの選択肢を前提に、まずは「売る」選択肢について考えていきます。

 

 

▼空き家がある場合の3つの選択肢

①売る

②貸す

③そのまま管理する(自分で使うなど)

 

売るに近い選択肢として、相続土地国庫帰属制度を利用して国に引き取ってもらうなどの方法もあります(【第1章 空き家の問題と最新の法改正⑪相続した土地を国に引き取ってもらえる!】参照)。

 

 

■「売る」ことのメリットは大きい
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空き家を「売る」という選択について、空き家を売ることの最大のメリットは、空き家の維持管理から解放されることでしょう。維持管理の手間暇、費用、心配事から解放されるということです。繰り返しになりますが、災害等がなくても、屋根や外壁は経年劣化に対する補修の必要がありますし、室内はこまめに掃除や空気の入れ替えをしなければ湿気が溜まって傷みます。庭がある場合はその手入れも大変ですし、シロアリ等の虫害の発見が遅れてしまえば、「特定空家等」またはその前段階である「管理不全空家等」と化す可能性があります。さらに、空き家であったとしても不動産を所有している以上、固定資産税などの納税義務を免れることはできません各種保険の継続も前提となるでしょう。これらの負担から完全に開放されるのが「売る」という決断です。逆に維持管理を続ける場合、これらの負担が継続的にかかっていくことになるのです。

 

よって、空き家問題の根本的な解決法は「売る」ことと言えるでしょう。普段使っていない物を処分することは、日常生活において当たり前の判断です。不動産も「物」ですから、この判断に従って売却するという選択はベターと言えます。また、空き家を売ることができれば、その代金を手にすることができます(空き家のある場所や状況にも大きく影響を受けますが)。共同相続が発生している場合では、お金に換えることで、不動産と違って相続人間で平等に分けることもできます。

 

 

■売却のデメリット(売却をしない理由)
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ベストに近い選択と思われる売却ですが、逆にデメリット、つまり、売却をしない理由は何でしょうか。まず考えられる理由としては「面倒くさいから」ということがあるのではないのでしょうか。特に空き家を兄弟姉妹等で共同相続した場合、相続人の全員が「売却する」という意見で一致しない限り、売却は困難です。理論上は、自身が相続した持分のみを売却することもできますが、現実的には、共有部分のみを買おうという第三者は、一部の買取専門業者を除いていません。仮に買取専門業者に持分のみを売却できたとしても、他の共同相続人から「何故勝手に売ったんだ」と非難され、家族関係を悪化させる可能性もあるため、他の相続人が納得した形でなければ、自身の持分のみの売却はお勧めできません。

 

それに、子どもの頃とは異なり、兄弟姉妹といえど簡単に集まって話し合いの機会を設けることもままならないケースも珍しくありません。このように意思決定そのものが面倒くさいため、なかなか「売ると決める」というスタート地点に立つことすらできないことも多くあります。そういった点でも、共同相続となる場合に、実家を特定の1人に相続させる旨の遺言書があれば、第一のハードルは大きく下がります。

 

また、空き家に市場価値がなく売れないというケースも考えられます。この場合、他の選択肢を検討することとなりますし、また、空き家を解体して更地にして売るという選択肢も考えることになるでしょう。「更地」とは、建物の建っていない土地のことです。土地利用の自由度が高いため、高額で売れる可能性もあります。

 

 

■「売る」と言ってもいくつかのパターンがある
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先ほど更地にして売るという話をしましたが、「売る」と言ってもいくつかの「売り方」が考えられます。

 

▼空き家の「売り方」の3つの選択肢

選択肢A:そのまま売る(中古住宅として)

選択肢B:リフォームして売る

選択肢C:空き家を解体し、更地として売る

 

選択肢Aの「そのまま売る」とは、空き家となっている家屋を中古住宅として、そのまま売るということです。空き家の状態が良好であり、いつでも住める状態であるならば、そのまま売れる可能性があります。また、空き家がいわゆる古民家であれば、多少状態が悪かったとしても、そのまま売れる可能性があります。近年では、買い手が古民家をリノベーションして、何らかのお店として利用するケースが増えてきたためです。さらに、空き家買取業者とも呼ばれる不動産会社に直接買い取ってもらうケースも「そのまま売る」に入るでしょう。