先ほどは、不動産会社に買主を見つけてもらう方法についての話をしましたが、ここでは直接、不動産会社に空き家を買い取ってもらう話をします。買取価格が安くなる反面、すぐに決着がつく可能性が高い方法です。
■空き家買取業者に売却するメリット・デメリット
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【⑤「そのまま売る」場合は不動産会社に依頼】で述べたように、不動産会社と媒介契約を締結した場合、すぐに住むことができる空き家であったり、人口が増加傾向にあるエリア内にある空き家であれば、購入してみたい、住んでみたいという人が出てくる可能性は高いでしょう。しかし、老朽化が進んだ空き家であったり、地域住民の高齢化が進んでいるなどの住宅需要が少ないエリア(いわゆる過疎地域)の場合、いつまで経っても購入希望者が現れないことも予想されます。このように売りに出したものの買い手が付きそうにない場合、不動産会社に直接買い取ってもらう方法があります。このような不動産会社を「空き家買取業者」と呼ぶこともあります。
少しでも早く空き家問題に片をつけたい人は、この方法がお勧めです。買主を探す時間がかからないため、1か月程度で売却が完了することもあります。空き家買取業者は専門業者ですから、老朽化しているなどのいわゆる「難アリ物件」であっても、そのまま買い取りをしてくれます。中には空き家の残置物を含めて、そのまま引き取ってくれる買取業者もあり、空き家内の片付けさえせずに空き家問題が一挙解決することもありえます。
ただし、デメリットとしては、一般的に売却価格が安くなる点です。特に空き家の取壊しを前提に買い取りを行う業者にとっては、実質的な購入対象は土地であり(これを「古屋付き土地売買」ともいいます)、その場合は土地代金から解体費用(一般的に数百万円かかる)を差し引いた金額が売買代金となります。よって、仲介による売却に比べると、市場の相場の半額以下の売却代金になると覚悟したほうがよいでしょう。
その反面、不動産会社による直接の買取りとなるので、原則として、仲介手数料はかからない、また、早期の売却が決まれば、空き家譲渡所得の3000万円特別控除等により譲渡所得税が非課税となるといったメリットもあります。ですので、売却価格だけにこだわらず、プラスマイナスを総合的に判断してください。空き家譲渡所得の特例については、【空き家譲渡所得の特例が延長&緩和】を参考にしてください。要件の1つに「相続があった日から3年後の年末までの売却」よいうものがあります。