ここでは【選択肢は「売る」「貸す」「管理する」の3つ】の中の空き家の「売り方」の3つの選択肢のうち、Bの空き家をリフォームしてから売る方法について紹介します。このまま売りに出すのはあまりにも…という状態である場合の方策です。
■空き家をリフォームして売るメリットとは
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空き家を「売る」という選択をした場合、せっかく売るのならば少しでも高く売却したいと思うのは自然なことです。では、高く売却するためには事前に空き家をリフォームした方がよいのでしょうか。空き家の購入を検討している人は、一般的に、建物の古さや多少の不具合は覚悟しているものです。ただし、あまりにも見た目が悪いと、さすがに購入検討の候補に入れてもらえません。購入希望者の多くは、インターネットその他の媒体で外観や内装の画像を見た上で、ある程度の候補を絞って内覧に行くため、そもそも候補にすら入れてもらえなければ、いつまでたっても売却に至ることはないでしょう。そこで、そのためにリフォームをして、見栄えを良くして内覧までこぎつける回数を増やす=売却のチャンスを増やすことは、とても有効な方策といえます。
また、空き家の購入希望者が「すぐにでも引っ越しして来たい」と考えている場合も、リフォーム済みの物件は有利です。内容にもよりますが、一般的にリフォーム工事には数か月の期間がかかることが多く、購入後にリフォームをする場合、工事完了までの間は別のところに仮住まいをすることになります。この点、リフォーム済みの物件であれば「即入居可」をうたうことができるので有利に働きます。
なお、空き家を購入した買い手自らがリフォームをする場合、一般的には、住宅ローンと併せてリフォームローンを組むことが多くなっています。住宅・リフォーム一体型のローンでない場合、リフォームローンの利率の方が高いことが多いため、リフォーム済みの物件であれば、その分が売買価格に転嫁されていても、利率の低い住宅ローンで支払うことが可能となり、購入希望者には負担減のメリットとなります。
■お金をかければよいというものではない!
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逆に空き家をリフォームするデメリットを考えてみると、売却価格が高くなるという点でしょう。空き家の購入を検討している人の中で「できるだけ安く買って、浮いた資金で自分好みの家にカスタマイズしたい」という人は多く、そのような人たちにとってリフォーム済み物件、つまり、それなりのお値段の物件は、興味の湧かない物件ということになりえます。汚すぎる物件は誰からも敬遠されるでしょうが、そこそこの状態であれば、後は自分でなんとかするので、安いほうがありがたいと考えている空き家購入希望者も思いのほか多いことは知っておいた方がいいでしょう。物件の状態にもよりますが、結局のところ、この辺は選択となります。また、あまりに個性的なリフォームを行うと、一般的には買い手が見つかる可能性は低くなるので考えものです。
そして、リフォーム費用について、売却価格に転嫁しようと考えるのは空き家の売り主としては当然のことです。具体的に大規模なリフォームを施行した場合、数百万円を上乗せすることになるでしょう。しかし、空き家=中古物件は、築年数などによって相場価格が形成されるため、いくらリフォーム済みを強調したとしても、築年数が経過している物件だと割高感が出てしまいます。特に新築の競合物件がある場合は「中古なのに高いね」と比べられてしまうことが多いので、バランスのとれたリフォームが必要となります。リフォームをして高い費用をかけた分だけ、スピーディーに高く売れるとは限らないのが空き家の特徴です。
■ハウスクリーニングを上手に利用する
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水回りは毎日使う場所であり、また、汚れやすい場所なので、気にする人が多いです。ですので、水回りは最もリフォーム費用をかける価値のある場所といえます。トイレや洗面台が汚れていると、とても使用感が増してしまいますよね。また、トイレが和式である場合は、洋式へとリフォームすることも検討しましょう。ただし、リフォームではなく、「ハウスクリーニング」による方法でもキッチンやバスルームなどの水回りの汚れはずいぶんと綺麗になり、見栄えもよくなります。ハウスクリーニングで済ますのならば、リフォームに比べて費用もかかりません。よって、空き家を売却するにあたって、本当にリフォームまでが必要な物件なのかは慎重に検討しましょう。ハウスクリーニングで対応できる範囲の修繕に留めた方がスムーズに売却できる可能性が高いかもしれません。
■自治体によっては、補助金や助成金があります
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リフォーム費用をかけたからと言って、買い手がつきやすいわけではありません。ただし、自治体によっては空き家のリフォーム費用の助成を行っているところもあります。なので、リフォームを考える際には、空き家のある場所の自治体に助成金等の制度があるのか、確認をしてみることをお勧めします。各自治体の公式ホームページに情報の掲載があるかを確認し、よくわからない場合は、直接連絡をして聞くのがよいでしょう。補助金や助成金の制度は、都道府県と市町村のそれぞれに設けられているケースも多くあります。支援の条件等が変わることもあるので、必ず最新の情報を確認してください。その意味でも、直接連絡を取って聞いたほうが良いと思います。
参考までに、「地方公共団体による空き家対策支援制度」検索サイトの利用方法を紹介しておきます。
▼「地方公共団体による空き家対策支援制度」検索サイトの利用方法
①トップページを開きます。
②「地方公共団体を選ぶ」または「支援対象区分を選ぶ」から検索します。
③下のほうの「検索する」をクリックします。
④各自治体の支援内容が出てくるので確認します。